〔このブログは、東洋グリーン葉身分析をご利用のお客様に9月23日にお送りした『傾向と対策』・『葉身分析Weekly!』を、再構成したものです〕
【葉身分析センターより 2013年9月23日】いよいよ回復開始・・・でもまだご注意を!
今日までの葉身分析の全国平均値を見ても、葉身中のカリウムは過去最低だった8月下旬から一気に回復、温度の低下とともに、根の回復が始まったことを示しています。
一方、フルクタンの全国平均値は9月に入ってさらに低下しています。 実はこの時期、フルクタンが極端に低い(時に検出限界以下=ゼロ値)が出ることがよくあります。 真夏のゼロ値は、光合成も根の活性も落ち切った危機的状況を反映していることが多いのに対し、この「秋口のゼロ値」は、カリが比較的高いなど、真夏とは違う特徴があります。
これは、夏の終わりから秋にかけての回復の流れ、つまり
①温度の低下
→②呼吸速度の低下
→③根の機能回復開始
→④蒸散の回復
→⑤光合成の回復=炭水化物生産の増加
→⑥呼吸に使った残りの炭水化物が、葉の回復に使われる
→⑦葉の回復が軌道に乗ってきたら、新しい根の形成に炭水化物が使われる
→⑧葉と根の機能が完全回復して光合成が最大になり、炭水化物が大幅に余って、貯蔵養分のフルクタンが増加する(=本格的な「秋」)、
・・・・という流れの⑥と⑦のステージで、余った炭水化物が全て新たな葉と根の形成につぎ込まれている状況、と読んでいます。
事実、個々の場ではこのステージはごく短期間で、その後はフルクタン値が急速に回復する例が多いようです。 これは、「有り金を全部つぎ込んで作った新しい根と葉が本格稼働を開始した」ということで、正常な回復過程にあるとも言えます。 目標値の「秋」への切り替えまで、あと一息、という感じでしょうか。 実際にはこの進み方は地域によっても異なりますので、是非ご自分のコースの葉身分析値の変化を確かめ、「ベントグリーンを夏越しさせる8つのステップ」のStep 6とStep 7もご参照の上、秋の作業を調整してください。
ところで実は今、打ち合わせでシンガポールに来ています。 ここの今日の最高気温は32℃で、これは東京の去る9月13日の最高気温と同じ。 赤道直下のシンガポールと東京が大差無いとは・・・・ しみじみ、わが国がどんどん暑くなっていると感じます。
「守りの管理」の必要性と、高温ストレスに対する耐性が非常に強い「962」のようなベントグラス品種の導入の必要性が、いっそう高まってきていると感じます。
写真は、打ち合わせ場所に指定されたラッフルズホテルのバーの、本家「シンガポールスリング」。 (もちろん、注文したのは、打ち合わせ終了後です!)