〔このブログは、東洋グリーン葉身分析をご利用のお客様に4月21日にお送りした『傾向と対策』・『葉身分析Weekly!』を、再構成したものです。 最新の情報とはタイムラグが生じていることがあります・・・・(詳しくは、こちら)〕
【葉身分析センターより 2015年4月21日】 目標値を『春』に切り替えます。
3月下旬の暖かさで、東京では3月21日に昨年より4日早く桜が開花しましたが、その後は2月並みの寒波がやって来て、冷や水が浴びせかけられる形になりました。
特に4月8日には全国的に強い寒気におおわれ、東京都心では4月として5年ぶりの雪、北海道旭川市は最低気温が零下5℃、千葉県銚子市でも降雪があり、銚子地方気象台によると、統計を取り始めて最も遅い記録とのこと。
その後、4月18日にも3月並みの寒い日が来ましたが、4月20日以降は温度も平年並みに回復、日平均気温もベントグラス地上部の生育適温(18~24℃)に入ってきました。(下図)
全国から届く刈草の分析値も、地上部の明確な動き出しのサインであるフルクタンの急落を示すところが多くなりましたので、ベントグラス葉身分析の目標値を『春』に変更します。 去年・一昨年より3日早い切り替えです。
これから梅雨入りまでの間は、一日の大部分が葉の生長に適した気温になり、日射量も比較的多いので光合成も旺盛、豊富な炭水化物を使って葉や新たな分げつや根の形成が活発に行なえる時期です。 そのため、適切な施肥や更新作業による刺激を組み合わせれば、若く活性が高く光合成能力も高い分げつを作り、来るべき夏に備えることができます。 また、そういった活性の高い芝草が作られれば、春の動き出しや更新作業で一時的に消費されたフルクタンも、旺盛な光合成によって回復・増加に転ずるはずです。 これが、新たな『ベントグリーンを夏越しさせる9つのステップ』では、この時期のフルクタンの変化の形として、谷(減少)のあとに山(増加)を繰り返すカーブを目指している理由です。
一方で、葉の生長に適した条件がそろうので、葉身中の窒素が高くなりすぎると、葉が過剰に生長し、葉が暴れてパッティングクオリティが低下するだけでなく、その伸びた葉を刈り込むことによる炭水化物の収奪で、体内の炭水化物レベルが低下するばかりとなって、新たな根や分げつの形成に回す分が足りなくなってしまいます。
このため、この時期のベントグラス管理の最大のポイントは「葉身窒素レベルを過不足無くコントロールすること」で、具体的には葉身窒素が4~5%の範囲をキープすることが目標になります。 その具体的方法については、「ベントグラスを夏越しさせる9つのステップ」の『STEP 2 【春】 「梅雨前に芝と土壌の若返り」:更新作業と施肥』をご参考ください。