〔このブログは、東洋グリーン葉身分析をご利用のお客様に6月12日にお送りした『傾向と対策』・『葉身分析Weekly!』を、再構成したものです。 最新の情報とはタイムラグが生じていることがあります・・・・(詳しくは、こちら)〕
【葉身分析センターより 2015年6月12日】 目標値を『梅雨』に切り替えます。
今年も梅雨入り。 葉身分析目標値を切り替え、『STEP 3 【梅雨】』に移行します。
「本州の梅雨入りは6月15日ごろ」と予想していたのですが、それより早く6月2日に九州、3日に四国・中国・近畿、8日に東海・関東甲信が相次いで梅雨入りしました。 平年と同じか、少し早目の梅雨入りになっています。
ベントの葉身分析値に対する梅雨の影響は、典型的には窒素の上昇(土壌有機物分解に伴う窒素放出)と、カリウムの低下(根の活性低下)、フルクタンの低下(呼吸・刈草の増加と光合成の低下による、炭水化物収支の悪化)が主な特徴です。 今年の葉身分析値を見ても、この文章を書いている6月11日の時点では、まだはっきりした変化は出ていません。 九州以外ではまだ雨の日がそれほど多くなく、「カラ梅雨」気味のスタートだからでしょうか。 今日出た気象庁の1ヶ月予報でも、降水量は平年並みか少ない見込み、となっています。
ただ以前にもご紹介したように、人間にはさほどつらく感じられないこの時期ですが、ベントグラスにとっては、光合成エネルギーは不足、地温は根の適温を越えはじめる、つらい時期の始まりです。「カラ梅雨」でも、曇りで蒸し暑い日の連続は、ジワジワとベントを苦しめて行きます。 その意味も含め、6/12付で葉身分析目標値を『梅雨』に切り替えます。
なお、上記の「典型的な梅雨の葉身分析値」は、いずれも管理や芝や土壌の状態で変わってきます。 窒素は施肥でのコントロールが比較的容易です。 カリウムも根の過湿・酸欠を防止し、ストレスを軽減することで、ある程度は低下を抑えられます。 そういった対策の総合として、炭水化物収支が黒字に保たれれば、フルクタンの急減は防げます。
日射と気温と雨は人間にはコントロールできませんが、こういったコントロール可能な要素を、できるだけプラス側に持って行くこと・・・それが梅雨のベントグラス管理ではないでしょうか。
詳しくは、「ベントグリーンを夏越しさせる9つのステップ」の『STEP 3 【梅雨】』をご参考ください。